初めて認知症の介護する時に知っておいた方が良いことは何ですか?
物忘れと認知症の違いを押さえて、認知症の特徴や主な症状を理解するのが肝心です。
認知症とは、高齢者に多く見られる症状で、日常生活に支障をきたすことがあります。もし、ご家族の中で認知症の方がいらっしゃる場合、その方との接し方に悩むことがあるかもしれません。しかし、認知症について理解することによって、ご家族とのコミュニケーションを円滑にできます。こちらの記事では、認知症の症状や言動・行動についてお伝えします。具体的な内容は以下の通りです。
- 物忘れと認知症の違い
- 認知症の種類
- 認知症が引き起こす言動・行動
ご家族との大切な時間を、より良いものにするために、知識を深めましょう。
物忘れと認知症の違いとは?
物忘れと認知症の決定的な違いは、物忘れを本人が自覚しているか、していないかです。自覚のあるなしでは日常生活への影響が大きく変わります。物忘れと認知症の特徴をそれぞれ理解すれば、いち早く認知症に気づける場合もあるでしょう。それでは、それぞれの特徴を解説します。
認知症の特徴
認知症は記憶障害により、体験そのものを忘れてしまうのが特徴です。脳のダメージによる認知機能の低下により、記憶そのものが抜け落ちてしまいます。いつも出来ていた身の回りのことが出来なくなったり、コミュニケーションが成立しなくなったりと、日常生活に支障が出ます。
物忘れの特徴
物忘れはストレスや疲れなどによって、体験の一部を忘れることが特徴です。記憶が部分的に引き出せなくなります。しかし、ヒントを貰えばすぐに思い出せます。一時的なものですので、日常生活に支障はありません。
認知症の種類
主な認知症の種類は4つあります。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
それぞれ順番に解説します。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は最も一般的な認知症であり、全体の半数以上といわれています。
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が破壊されることによって起こる、進行性の認知症の一種です。この病気は、通常は60歳以上の人々によく見られますが、若年発症の場合もあります。
主な症状には、記憶障害、言語障害、空間認識障害、判断力の低下です。
また、人格の変化や、不安、うつ病のような感情的な症状が現れることもあります。
脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症に次いで多いとされるのが脳血管性認知症です。
脳血管性認知症は認知機能に障害が生じて起こる認知症です。脳内の神経細胞がダメージを受けると発症します。具体的には脳梗塞や脳出血により、脳内の血管が詰まったり、破裂したりすることが原因です。
脳血管性認知症の症状には、物忘れや言葉の出しにくさ、判断力の低下、注意力の低下、思考速度の低下などがあります。また、歩行障害や手足の麻痺、感覚異常などの神経症状がおきる場合もあります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳内の神経細胞に存在する異常なタンパク質であるレビー小体の蓄積によって引き起こされます。アルツハイマー病患者と同様に、記憶力の低下、思考力の低下、判断力の低下、言語障害などです。
さらに、レビー小体型認知症の独特な特徴とされるのが、視覚的空間認知障害、幻覚、錯覚、パーキンソン病の症状(筋肉のこわばりや動作の鈍さ)睡眠障害などです。これらの症状は、日常生活に多大な影響を与えます。また、激しい症状の変動があることが特徴的で、一日のうちに認知症の症状が悪化する場合があります。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで引き起こされます。主な症状には記憶障害、判断力や意思決定能力の低下、言語障害、個性や興味の変化があります。
前頭側頭型認知症は、他の認知症と比べて比較的若い年齢で発症することが多い認知症です。
他の認知症と違い、指定難病に認定されています。
認知症が引き起こす言動・行動
認知症が引き起こす特徴的な言動・行動には以下の4つがあります。
- 徘徊
- 妄想
- 幻覚
- 暴言・暴力
それぞれ順番に解説します。
徘徊
徘徊は、認知症による思考力の低下によっておこります。自宅など見慣れた景色が次第に認識できなくなるのが原因です。目的地にたどり着くことが難しく迷い続けてしまいます。また、探し物をしていたのに、途中で探し物をしていることを忘れてしまい、歩き続けてしまうこともあるでしょう。
妄想
妄想は記憶障害が進むと発症するようになります。認知症によって、現実と想像との区別がつかなくなるからです。
具体的な妄想には財布を置き忘れただけなのに「お金を盗られた」と主張する物盗られ妄想や「理不尽な対応をされた」「いじめられた」と主張する被害妄想があります。
記憶力が低下しているため、一部の情報だけをもとに判断してしまうのが特徴です。妄想が発症すると自己中心的な思考が増えることがあります。
幻覚
幻覚は、実際には存在しない視覚的、聴覚的、触覚的な感覚を感じることです。環境への適応能力が低下し、現実との区別がつかなくなります。そのため、記憶の混乱や不安、ストレスなどが原因で引き起こされることが多いです。
暴言・暴力
暴言・暴力は、複数の認知症で見られる症状です。感情異常が起こりやすい脳血管性認知症や、幻覚・錯覚症状が起きやすいレビー小体型認知症、人格の変化を起こしやすい前頭側頭型認知症に出やすいとされます。不安を感じ混乱している、体調が悪い、脳機能の低下により感情のコントロールができなくなるなど、様々な要因が重なり引き起こされます。
まとめ
認知症の症状や言動・行動について解説しました。ご家族の中で認知症の方がいらっしゃる場合、その方との接し方に悩むことがあるかもしれません。しかし、認知症について理解することによって、ご家族とのコミュニケーションを円滑にできます。ご家族との大切な時間を、より良いものにするために、知識を深めましょう。