在宅介護に必要なものはなんですか?
在宅介護は事前準備が肝心です。必要な介護用具や介護しやすい生活環境、頼れる介護サービスを押さえておきましょう!
初めての在宅介護は不安しかない・・・。たしかに、何から用意すれば良いのか分からず不安になりますよね。
そこで、この記事では「在宅介護をすることになった、必要なものを知りたい!」というテーマで、必要なものを一挙にご紹介します。
- 在宅介護に必要な器具や用品
- 事前に準備しておきたいこと
- 在宅介護をサポートする体制
在宅介護に必要なものを一通り知ることで、安心して在宅介護ができます。是非、この記事を参考にして大切な方の介護に備えてください。
在宅介護で必要なもの3選
在宅介護に必要なものは3つあります。
- 本人の状態に適した介護用品
- 介護しやすい生活環境
- 介護サービスを利用するお金
それでは解説していきます。
本人の状態に適した介護用品
在宅介護が始まったら本人の状態に適した介護用品が必要です。必要なものは、介護される方の状態によって変わってきます。
たとえば少し補助すれば生活が問題なく行えるなら、特別な介護用品は必要ありません。しかし半身マヒや寝たきりの状態であれば、適切な介護用品があれば生活しやすくなるでしょう。
「介護する側の負担が減ること」「介護される側が快適なこと」がポイントです。あなたのご家庭の様子に合わせて考えてみてください。
生活小物編
- 歯ブラシ
- ガーグルペース(うがい用の受け皿)
- 爪切り
- 男性なら電気シェーバー
- ストローが付けられるコップ
- 吸い飲み
- 食事するときの介護用エプロン
- 介護用食器
- ウエットティッシュ(食卓やベッドサイドにあると便利)
- ビニールゴミ袋(匂いがでるのもの直ぐに処理)
- 使い捨て手袋(お世話するときにお互いに気分が楽)
- 使い捨て吸収ベッドシート(おむつがずれることが結構あるので)
- おむつ(自分でトイレに行ける方もひとつはあった方が安心)
- バケツ(おむつ交換専用としてひとつ)
- ぞうきん(食事後に結構使う)
生活大物編
- 車椅子
- 歩行器
- 介護用ベッド
- 寝具
- 床ずれ防止マット
- 車椅子用床ずれ防止クッション
- ポータブルトイレ
- 風呂用マット
- 介護用風呂の椅子
介護しやすい生活環境
介護に必要なものに、生活環境(居住環境)の整備があります。
自宅で介護を始める場合、今まで不自由なく暮らせていた環境でも不便さを感じることがあります。日常生活を快適に過ごせる環境を整えることが重要です。
居住環境を整備するためのポイントは以下の3点です。
- メインとなる生活スペースを決めること
- 生活導線の調整
- 必要に応じて改修
それぞれ順番に解説します。
メインとなる生活スペースを決めること
まずは介護を受ける方がメインで生活するスペースを決めます。動作に不安があっても生活しやすいように、住居の導線を考える必要があるからです。
たとえばトイレや浴室が近いと移動がスムーズに行えるので、毎日のトイレや入浴の負担が減らせます。日当たりが良い場所であれば、気分も明るくなり快適に生活可能です。
介護のために居室環境を整備する際は、介護を受ける方が生活しやすい場所をメインの生活スペースとすると良いでしょう。
生活導線の調整
安全でスムーズに移動できるように、日常生活上の導線を調整します。スムーズな移動を妨げるものを事前に排除・調整しておくことが大切です。
たとえば居室やトイレ、浴室、リビング、玄関などを繋ぐ通路に障害物があると、移動の妨げとなります。特に転倒には注意が必要です。
ラグなどの敷物や滑り止めが付いていないマットなどはつまずきや転倒の恐れがあるため使わない方が良いでしょう。
必要に応じて改修
必要に応じて手すりやスロープを設置し居住環境を改修します。介護を必要とする方が快適に過ごせるように、住環境を整備することが大切です。介護を始める前に、必要な改修工事を行い安全で快適な生活環境を整えましょう。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- すべり防止や移動の円滑化のための床材変更
- 引き戸への交換
- 洋式便器への交換
改修工事は介護保険サービスが適用されます。自己負担を大きく抑えられますが、制限もあります。ケアマネジャーと相談しながら改修を検討すると良いでしょう。
介護サービスを利用するお金
介護サービスを利用する場合には、介護保険の適用が一般的です。介護保険には、利用者が負担する費用(自己負担額)があります。
原則として、介護サービスにかかった費用は1割負担です。一定以上の所得者であれば2割又は3割の負担となります。仮に1万円分のサービスを利用した場合に支払う費用は、1割負担であれば千円(2割の場合は2千円)です。
サービス利用料は内容によってことなりますが、在宅介護であれば1回あたり数千円程度です。老人ホームへ入居の場合は月額数十万円程度の利用料が発生する場合もあります。介護度に応じて利用できるサービスや自己負担額も変わるのが特徴です。
介護サービス利用料には、食費や入居費用、医療費用、介護用品費用などが含まれる場合もあります。場合によっては利用者や家族にとって負担が大きくなってしまいます。利用する前に必ず費用面について確認すると良いでしょう。
介護サービスは家計の状況に合わせたプランを選ぶことが大切です。あらかじめ担当のケアマネジャーなどに家庭の金銭的な状況や希望を伝えましょう。
在宅介護に備えるために必要な5つの準備
初めての在宅介護に備えるために必要な5つの準備を紹介します。在宅介護は、家族や身近な人の手で行われることが多く、必要な準備や手続きがいくつかあります。以下の5つの準備を行うことでスムーズに進められます。
- 必要な器具や用品の確認
- サポート体制の確認
- 介護保険の手続き
- 介護スケジュールの作成
- 精神的な準備
それでは解説していきます!
必要な器具や用品の確認
本人の状態に適した介護用品には近所で買えるものもあります。小物であれば100円ショップやホームセンターで安く購入可能です。使い捨て手袋、ゴミ袋や食事用エプロンだけでなく、ガーグルペース(うがい用の受け皿)や吸い飲みも100円ショップにありました。お近くにショップがあれば、ぜひ一度覗いてみてください。
介護用ベッドや車いすといったサイズが大きなものを買う際は、あらかじめ寸法を測っておきましょう。自宅に設置できるサイズかどうか、窮屈さを感じないかどうかをポイントにしてください。介護保険サービスでは、必要な介護用品をレンタルまたは購入できるものがあります。必要な場合は、担当のケアマネージャーに相談し、ケアプランを作成してもらいましょう。
福祉用具専門販売業者であれば、相談員からレンタルや購入のアドバイスを受けられます。介護用品の購入やレンタルに迷った際はぜひ相談してみてください。
サポート体制の確認
在宅介護に備える際はどのようなサポート体制があるか確認しましょう。介護は一人だけで続けることは大変な負担になります。サポート体制は大きく分けて以下の2つです。
- 家族のサポート
- 専門家のサポート
それぞれ解説していきます。
家族のサポート
在宅介護を上手く行っていくには、兄弟姉妹を含む家族間の協力体制が必要です。介護の方針を明確にし、役割分担をすればそれぞれの負担を軽減できます。
また介護を受ける本人やその家族がどのような生活や介護を希望しているかを明確にすることで、ケアプランの作成がスムーズになります。
負担を一人に集中させず、家族間における関係性の悪化を防ぐためにも、役割分担を明確にしましょう。
専門家のサポート
在宅介護を行う際は家族だけでなく、専門家を巻き込むのがおすすめです。プロの視点からの提案やアドバイスは在宅介護にとても役立ちます。専門家には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャー、通院先の主治医、訪問看護師、訪問介護事業所・デイサービスセンターのスタッフなどがいます。
介護について専門家のサポートを受けたい場合は、まず自分が住んでいる市区町村の役所や地域包括支援センターに連絡しましょう。役所には、福祉課や介護保険課、高齢者支援課などの担当窓口がありますが、自治体によって名称は異なる場合があります。分からない場合は、総合窓口に問い合わせて、適切な部署に案内してもらいましょう。
地域包括支援センターは、高齢者に関する相談窓口で、社会福祉士や保健師、ケアマネジャーなどの専門職が配置されており、介護保険サービスを含む様々な相談や支援を受けられます。
介護保険の手続き
介護保険を受けるには手続きが必要です。介護保険を利用して介護サービスを受けるには書類を提出するだけでなく、訪問調査を受けて対象者の状態を伝えなくてはなりません。
どのような準備が必要なのかをしっかり把握すれば、戸惑わずに対応できます。
介護保険の手続きは、自治体の福祉課や介護保険課などの窓口で行います。利用者が住んでいる市区町村の役所や地域包括支援センターに連絡しましょう。申請に必要な書類を用意すれば、本人以外でも代理申請が可能です。
申請後は、自治体の担当者による訪問調査が行われ、1次・2次判定があり、正式な介護度が決定されます。認定結果の通知はおおむね30日以内です。受けられる介護サービスは介護度によって変わります。
認定結果が出たらケアマネジャーと相談するのがおすすめです。介護の専門家と一緒にどのような介護サービスを受けるか決めていくと良いでしょう。
介護のスケジュールを作成
在宅介護への備えとして、スケジュールの作成もおすすめです。介護を行う日程や時間、食事や薬の管理など、スケジュールをしっかりと管理すると、介護の質が向上するだけでなく介護をスムーズに行えます。また1人に負担が集中することなく、役割分担が明確になるでしょう。
スケジュール管理の例として以下があります。
- 介護時間や日程の把握(家族共有しましょう)
- 食事や薬の管理(飲み忘れがないようにしましょう)
- 日常生活の管理(入浴や掃除など生活が乱れないようにしましょう)
精神的な準備
在宅介護には精神的な準備が必要です。介護は、日々の身体的な負担やストレスからくる精神的な負担も大きなものとなることがあります。家族や友人、ケアマネにいつでも相談できるようにしておきましょう。
また、散歩することで気分転換ができることがあります。余裕がなくなったときこそ散歩がオススメです。外に出て新しい風景を見たり、新しい人と出会ったりすることでストレスの軽減やリフレッシュにつながることがあります。
介護を受ける人と一緒に散歩することで、コミュニケーションの機会を増やすことができ、お互いの気持ちをより理解することができます。
まとめ
在宅介護は、初めてする方にとって何から用意すれば良いのか分からず、不安を感じることが多いものです。そんなあなたのために、この記事では在宅介護に必要なものやその準備について一挙に紹介してきました。
在宅介護に必要なものを一通り把握しておくことで、不安を解消し、安心して介護を行うことができます。在宅介護を行っていると、時に孤独を感じてしまうこともあるでしょう。でも、あなたは1人ではありません。どうぞ大切な方の介護に寄り添いながら、必要なものを準備して、安心して介護を始めてください。