老人ホームへの入居を検討するにあたり、事前に見学することは非常に重要です。パンフレットやホームページからの情報だけでは施設の実態をつかむことはできません。老人ホームは長時間利用することも多く、場合によっては人生の最期を迎える場にもなり得ます。入居後想定と違ったからといって簡単に他の施設に移ることもできません。だからこそ施設見学はマストといえるのです。
この記事では老人ホーム見学でチェックすべきポイントを5つ厳選してご紹介していきます。失敗しない老人ホーム選びのためにぜひ参考にしてください。
老人ホームの見学でチェックポイントを絞る理由
老人ホームの見学でチェックポイントを絞る理由は「確認漏れを防ぐため」です。見学時間は1~2時間の施設が多く、決して時間に余裕があるとはいえません。限られた時間で施設のサービスを見極める必要があります。
- この施設で理想的な生活を送れるのか?
- 大切な家族を安心して任せられる施設なのか?
予めチェックポイントを絞り、当日焦ることなく確認するのがおすすめです。
老人ホーム見学でチェックすべきポイント5選
ここでは老人ホーム見学でチェックすべきポイントを解説します。
- 施設全体の雰囲気
- 建物や設備などの施設環境
- 介護・医療サービス
- 施設へのアクセス
- 契約内容
それぞれ順番に解説します。
施設全体の雰囲気
施設全体の雰囲気は見学時にしか確認できません。毎日を楽しく過ごす上で施設内の雰囲気と入居する本人の価値観が合っているかは非常に大切な要素となります。また、入居者やスタッフが作り出す施設全体の雰囲気は簡単にごまかせません。以下にチェックすべきポイントをまとめました。
入居者 | スタッフ | 施設長 |
表情は明るいか? 服装や頭髪に清潔感はあるか? | 表情は明るいか? 時間に追われている印象はないか? 服装や頭髪に清潔感はあるか? 入居者に対して丁寧に接しているか? 言葉遣いは適切か? | 施設の理念や運営方針に共感できるか? 職員の教育や研修の仕組みは整っているか? 人柄は自分たちに合うか? |
施設の雰囲気は見学時にしか感じることはできません。事前に「どのような雰囲気で暮らしたいか?」をイメージしておくと良いでしょう。
建物や設備などの施設環境
日常的に利用する建物や設備などの施設環境は、入居後の暮らしを大きく左右します。また、ホームページや資料には綺麗な写真しか掲載されていないことも多いため、実際に自分の目で確認する必要があります。「入居後希望の暮らしを送ることができるか?」ご自身が介護施設に求めるポイントと照らし合わせながらチェックしていきましょう。以下に見るべき箇所をまとめました。
居室 | 共有スペース |
十分な広さが確保されているか? ナースコールは手の届く位置にあるか? 備え付けの設備は整っているか? 日当たりや風通しは問題ないか? プライバシーは確保されているか? | 手すりは設置されているか? 居室から共用スペースまで遠くないか? 安全面に配慮がされているか? 清掃やメンテナンスは行き届いているか? 季節感のある飾り付けがされているか? 居心地はよいか? |
廊下や共有スペースの掲示物も要チェックです。食事メニューやイベントの様子を垣間見ることができ、入居後の生活をよりリアルにイメージできるでしょう。
介護・医療サービス
老人ホームによって提供される介護や医療のサービスは大きく異なります。ひとりひとり求めるサービスレベルも違うでしょう。適切なサービスを受けるにはサービスに関するチェックが肝心です。
たとえば人員体制に関しては要介護者には利用者3人に対して1人以上、要支援者には10人に対して1人以上の職員の配置が義務付けられています。基準に対して職員が足りないようでは適切なサービスは受けられません。より詳細なチェックポイントは以下の通りです。
ケア体制 | 医療連携 | 行事・レクリエーション |
ユニットケア 従来型のケア 混在型ケア | 服薬サポート 訪問診療 疾患に対する体制 健康診断の頻度 夜間や緊急時の対応 | 開催される頻度 企画される内容 実際の取り組みの様子 |
自分たちにはどのようなサービスが必要なのか事前に話し合い、明確にしてから見学することをお勧めします。
施設へのアクセス・周辺環境
老人ホーム選びでは家族が通いやすい場所にあるかどうかも大切なチェックポイントです。頻繁に面会に行くことができれば入居後孤独感や不安を感じにくくなるためです。
また自立の方であれば周辺環境も生活の満足度を左右する重要な要素となるでしょう。施設側としても入居者のことを家族に相談しやすくなるメリットがあります。以下のチェックリストを基に施設内だけはなく周辺環境も漏れなく確認しましょう。
アクセス | 周辺環境 |
最寄駅からの距離 交通の利便性 駐車場の数 | 買い物ができる施設の有無 散歩できるスポットの有無 工場や交通の騒音の有無 |
入居者本人は「入居後生活する」、家族は「入居後通う」ことをイメージしながら見学すると良いでしょう。
契約内容
契約内容で確認すべきポイントは多岐に渡ります。特にお金に関する項目はトラブルになりやすいため注意が必要です。少しでも疑問に感じたらその場で質問しましょう。以下にチェックすべき項目をまとめました。
入居条件 | 退去条件 | 料金 |
身体状態 認知症の有無 特定の持病 必要となるケア | 介護度が上がっても住み続けられるか? 入院は退去になるのか? 認知症が進行しても住み続けられるか? | 初期費用 月額費用 介護保険外の費用 入居一時金 退去時返戻金 |
上記に加え、身元保証人として求められる責任の範囲や責務についても確認しておくと良いでしょう。とくに病院への入退院や救急搬送の際には、身元保証人としての手続きが必要となる場合が多いです。
施設側も入居する方にとって最適なプランを掲示するために相談にのってくれます。入居後「こんなはずではなかったのに…」といったことがないよう、細かい部分まで丁寧にチェックしましょう。
老人ホーム見学パターン別重点チェックポイント
ここでは老人ホーム見学で重点的にチェックしたいポイントについて解説します。
- 認知症の方が特に重視したいチェックポイント
- リハビリを受けたい方が特に重視したいチェックポイント
- 最期まで老人ホームにお任せしたい方が特に重視したいチェックポイント
それぞれ順番に解説します。
認知症の方が特に重視したいチェックポイント
認知症の方への対応は老人ホームによって大きく異なります。認知症の方にとってケア体制は非常に重要な要素になりますので、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- 徘徊防止等の安全対策はとられているか?
- スタッフと信頼関係を築ける環境か?
- 音楽療養や回想法などの認知症ケアを取り入れているか?
- 虐待や拘束等の介護事故防止対策がとられているか?
- 認知症が重度化した際の退去要件はあるか?
認知症の方への対応は介護のプロでも苦労します。だからこそ施設側の対応方針を事前に確認しておくことが重要なのです。
リハビリを受けたい方が特に重視したいチェックポイント
リハビリは運動能力や認知能力を維持する上でも非常に重要です。老人ホーム入居後も症状の悪化や介護度の進行度を防ぐためには適切なリハビリが必要となります。以下にチェックすべきポイントをまとめました。
- リハビリ設備の充実度
- リハビリの頻度
- 具体的なリハビリのプログラム
- リハビリ専門スタッフ(作業療法士・理学療法士・機能訓練指導員)の配置
リハビリが行われる時間は老人ホームによって異なります。見学前に確認しておくと良いでしょう。
最期まで老人ホームにお任せしたい方が特に重視したいチェックポイント
全ての老人ホームに最期の瞬間まで入居していられるわけではありません。最期まで老人ホームにお任せしたいと考えている方は看取り介護に対応している施設を選ぶ必要があります。安心して任せるために以下の項目をチェックしましょう。
- 常勤看護師を1名以上配置しているか?
- 施設又は病院等の看護職員との密接に連携しているか?
- 医療職との24時間の連絡体制を構築できているか?
- 看取りに関する職員研修を実施しているか?
- 看取りの実績はあるか?
看取りに対応していない老人ホームでは容体が悪化した時に病院や他の施設へ移ることを余儀なくされます。話題にしにくい看取りですが本人、家族双方が納得できる最期を迎えるためにしっかり確認しましょう。
まとめ
老人ホーム見学でチェックすべきポイントをご紹介してきました。後悔しない老人ホーム選びでは「見学時にどれだけリアルな情報を集められるか?」が非常に重要になります。ご紹介したチェックポイントを基に限られた見学時間で必要な情報を効率的に集めていきましょう。
また老人ホームの見学では少しでも疑問点があればその場で質問することも非常に重要です。細かいポイントまで自分たちのニーズに合致するか確認しましょう。繰り返し質問しても施設側に迷惑がかかることはありません。施設側としても入居後にすぐに退去されることは避けたいので丁寧に答えてくれます。納得できるまで質問して疑問や不安を払拭し、ぜひ入居者本人、家族双方が理想的な生活を送れる老人ホームを見つけてください。