在宅介護での緊急時の対応が心配です。慌てないためにはどうしたら良いですか?
急変や事故を想定して準備しておけば、安心して在宅介護ができますよ。
緊急時のことを考えると在宅での介護を不安に感じる人もいるでしょう。医療の知識や技術がない家族にとって、緊急時の対応は高いハードルになります。しかし在宅介護のメリットは、住み慣れた家で家族と一緒に生活することで得られる安心感です。緊急時対応さえ押さえておけば、在宅介護が精神的に楽になりますよ。
この記事では、在宅介護で心配な「急変」や「事故」に対する対応や、準備しておくと安心なことを紹介します。日頃から備えておけば、安心した在宅介護ができるようになりますよ。
在宅介護で起こりうる緊急事態とその時の対応
在宅介護をする場合、緊急時の対応をイメージするのが肝心です。在宅だと周りにヘルパーや看護師はいない場合がほとんどです。どんな時に救急車を呼んだ方が良いのか、どの程度なら家族で対応できるのかを日頃から考えておくと良いでしょう。
「意識がない」「動けない」など、明らかな異常が現れた際は、迷わず救急車を呼ぶことがとても大切です。
◎軽度の場合(発熱や軽いケガ)
症状が軽い場合は家族でも対応可能です。風邪症状や打撲程度なら救急車を呼ぶ必要もないでしょう。家族が対応できる症状には以下のようなものがあります。
- 軽度の発熱や熱中症
- 軽くぶつけた程度の打撲
- 軽い切り傷による出血
- 短期間で治る腹痛
上記のような症状であれば家庭でできる処置で十分です。不安な場合は担当のヘルパーやケアマネジャーに相談すると良いでしょう。あまりにも痛がる場合や、長期間症状が続く場合、普段と様子が明らかに異なる場合はかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
◎病気の急変
高齢者は、持病がある場合がほとんどです。その持病は、いつ悪化するかわかりません。いつもと違うと感じたら、迷わず救急車を呼ぶことがとても大切です。
持病の悪化により緊急を要する事態になった場合、対応次第で命を左右することになりかねないからです。
持病の悪化は、それぞれ症状が異なります。持病が悪化した場合に起こり得る症状などを前もってかかりつけ医に確認し、急変に備えておくと良いでしょう。意識障害や呼吸障害が起こった場合は迷わず救急車を呼びましょう。
◎重大な事故
家の中で重大な事故が起こったら、まず救急車を呼びましょう。ケガの状態や症状によっては、命に関わります。明らかな異常を感じたら、重大な事故を想定するのが肝心です。
とくに下記の状況が疑われる場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
- 転倒して頭部を打ち、意識がない
- お風呂で溺れて意識がない
- 誤嚥などで窒息している
いずれの場合も家族だけで対応するのは困難です。動けない場合は無理に動かさず、できるだけ楽な体勢にして救急車や医療従事者が到着するのを待ちましょう。
在宅介護での緊急時に備えておくと安心なこと
緊急時に慌てないようにするには、日頃からの備えが重要です。緊急事態が起こると、誰でも慌てて、落ち着いた行動をとるのは難しいからです。どこに連絡すべきか、何をしたらいいのか、頭が真っ白になってしまいますよね。緊急時でもできるだけ落ち着いて行動できるよう、準備をしておくと安心です。
◎準備しておくとよいもの
まずは、本人の基本的な情報(氏名、性別、年齢、病歴)を記載したものをすぐに渡せるようにしておきましょう。
救急隊への説明が搬送先を決める重要な情報になるので、病状や病歴を正確に伝えることがとても大切です。その結果、適切な医療機関にいち早く搬送してもらい、適切な対応を受けることができるのです。最低限、基本的な情報を記載したものは、すぐに取れる場所に置いておくようにしましょう。
また、以下のものを準備しておくと、緊急時に何をすべきか、誰に連絡すれば良いのか整理しやすくなりますよ。
- 緊急時のフローチャート
- かかりつけ医療機関の名前と電話番号
- 頼れる親族の連絡先
必要な人に必要な情報を伝えるためにも、日頃から準備しておくと良いでしょう。
◎いつもと違うことにいち早く気付く
普段と違うことにいち早く気付くことができれば、初期対応も素早く行えます。日常の生活の中で気になることがあれば書き留めておくと良いでしょう。
高齢になると、はじめは些細な変化でも、後になって重症化することも少なくありません。食事量、排泄の回数、散歩の回数などの行動の変化や、元気がない、怒りっぽくなったなどの気持ちの変化を毎日観察するようにしましょう。
些細なことでも、日頃から気にかけることで、体調の変化に気付くことができ、かかりつけ医や看護師による初期対応が可能になります。
◎起こりうる変化に備える
普段から重大な事故に繋がらないように対策しておくことも重要です。高齢になると筋力や抵抗力が低下するため、ケガや病気をしやすくなります。持病の悪化に限らず、季節の変わり目に風邪をひいたり、誤嚥で喉を詰まらせたりするかもしれません。突発的な事故や病気を防ぐためには以下の対策が効果的です。
- 熱中症に備えて、空調に気を配る。
- つまずきやすいものを片付けておく。
- 段差や階段には、スロープや手すりをつける。
- ヒートショックに備えて、トイレやお風呂に暖房をつける。
- お風呂で滑らないようにマットを敷く。
- 誤嚥による細菌の侵入を防ぐために、口の中を清潔に保つ。
命に関わる事故に繋がらないようにするためにも、事前にできることは何かを考え、備えておくようにしましょう。
◎緊急通報システムや見守りセンサーの利用
家族の目が行き届かないところには、見守りセンサーや緊急通報システムの利用が効果的です。在宅介護では、24時間目を離さず介護することは不可能です。家族が外出中や就寝中で目を離している場合もあるからです。
そのような時には以下のようなものを利用すると良いでしょう。
介護される方のプライバシーを守りながら見守るものや、自分で外部に連絡を取ることができるものもあります。
- 見守りセンサー
- 安全確認できるアプリ
- 緊急通報装置
人の目が行き届かないところはもちろん、介護する家族の負担を減らす意味でも、見守りシステムを利用するのは効果的です。
まとめ
緊急事態が起これば、人は誰でも慌てるものです。
しかし、緊急時に家族にできる対応を知っていたり、日頃からできる準備をしておくことで、落ち着いて行動することができます。
不安なことがある場合は、介護する家族だけで考えるのではなく、かかりつけ医や訪問看護師、訪問ヘルパーなどに相談して、事前にサポートしてもらいましょう。
本記事を参考に緊急事態に備え、在宅介護が安心したものになれば幸いです。