高齢者の食事量の目安とは?食べやすさアップの工夫も4つ解説

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食事量の目安
くるみさん

高齢の親の食事量が減ってきています。
栄養が足りているのか心配です。

シン

基本となる食事量の目安があります。
活動量に合わせてバランスのよい食事をしましょう。

高齢になり食が細くなってきた親を見て、今の食事量でいいのか不安を感じていませんか。食欲がないためバランスの悪い食事が続くと、免疫力が落ちてしまいます。思わぬ病気を招くこともあるでしょう。 

この記事では、高齢者の活動量に合った必要な食事量と、食べやすくなる工夫をご紹介します。今の食生活で適切に栄養がとれているのかわかるようになるでしょう。生活スタイルに合わせた食事量の目安を知って、ぜひ普段の調理や食材選びの参考にしてみてください。

目次

高齢者の活動の違いによる食事量の目安

活動の違いによる食事量

高齢者の食事量を考えるときは、それぞれの活動量に合わせて決めることが大切です。活動量に合った食事にすれば、病気や怪我のリスクが下がります。

たとえば1日中を家で過ごす場合、お腹がすきにくいのであまり食事量は必要ないと感じるかもしれません。しかしたんぱく質や炭水化物といった身体に必要な栄養が不足した食事が続くと、筋力や運動能力が低下します。転倒しやすくなり、けがによって日常生活に支障が出る可能性もあるでしょう。

活動量が少なく食が細くなってきた高齢者こそ、必要な栄養素を摂取するために質の高い食事をとることが重要です。

それでは、活動の違いによる食事量をご紹介します。

農林水産省が推奨する料理の数え方を基準にして、食事量の目安を算出します。料理ごとに分けられているので、食材から考えるよりも判断しやすいでしょう。

出典:農林水産省”シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド”.農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/attach/pdf/index-56.pdf(参照 2023-10-10)

ほとんど外出をしない高齢者の場合

座っていることがほとんどの高齢者の食事量の目安は以下の通りです。

【活動量の少ない男性】

エネルギー主食副菜主菜牛乳乳製品果物
70歳以上1400〜20004〜5つ5〜6つ3〜4つ2つ2つ
69歳以下2200±2005〜7つ5〜6つ3〜5つ2つ2つ

【活動量の少ない女性】

エネルギー主食副菜主菜牛乳乳製品果物
全年齢1400〜20004〜5つ5〜6つ3〜4つ2つ2つ

参考:農林水産省”シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド”.農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/attach/pdf/index-56.pdfを加工して作成(参照 2023-10-10)

活動量の少ない男性は70歳以上になっても、主食以外の料理区分は今まで通り摂取することが推奨されています。活動量の少ない女性は70歳以上になっても、69歳までと摂取量は変わりません。

1日家で過ごす高齢者は、すべての料理区分で適切な食事量を摂れていない方が多いです。理由は以下の2つです。

  • 活動量が少なく、お腹が空かない
  • 体を動かすのがおっくうになり、簡単な食事で済ませてしまう

小食になると必要な食事量を摂取できず、低栄養になる危険性があります。活動量の少ない高齢者は意識して、目安となる食事量を料理ごとにまんべんなく摂ることが重要です。

活発に動く高齢者の場合

仕事や家事、運動をしている高齢者の食事量の目安は以下の通りです。

【活動量の多い男性】

スクロールできます
エネルギー主食副菜主菜牛乳乳製品果物
70歳以上2200±2005〜7つ5〜6つ3〜5つ2つ2つ
69歳以下2400〜30006〜8つ6〜7つ4〜6つ2〜3つ2〜3つ

【活動量の多い女性】

スクロールできます
エネルギー主食副菜主菜牛乳乳製品果物
70歳以上1400〜20004〜5つ5〜6つ3〜4つ2つ2つ
69歳以下2200±2005〜7つ5〜6つ3〜5つ2つ2つ

参考:農林水産省”シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド”.農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/attach/pdf/index-56.pdfを加工して作成(参照 2023-10-10)

活動量が多い男性は、70歳以上になると、69歳以下の目安より全ての料理区分で1つずつ減らす必要があります。活動量が多い女性は、主食と主菜を1〜2つずつ減らしましょう。

活動量の多い高齢者は食欲がある方が多いので、食事量よりもバランスよく食べることを意識する必要があります。加齢によりかむ力や飲み込む力が落ちてくると、食べやすい食材の料理に偏りやすくなるからです。

バランスの悪い食事を続けていると、体に不調が表れやすくなります。表をもとに普段の食事内容を見直し、バランスよく食べることを意識しましょう。

高齢者が食べやすくなる工夫

料理する中年女性

高齢者が食べやすくなるように調理を工夫すると、より理想的な食事量と栄養バランスになります。食事が食べにくいと目安よりも少ない量の食事で済ませてしまったり、食べやすい食事に偏ってしまうことが多いからです。

すべての栄養素を不足なく摂取できるようにするには、食べにくい料理を食べやすくする工夫が必要です。かむ力や飲み込む力が弱くても、工夫次第でバランスよく必要な栄養素を摂取できるようになるでしょう。

高齢者が食べやすくなる工夫は以下の通りです。

  • やわらかくなるまで火を通す
  • 繊維質を切る
  • とろみをつける
  • 皮をとりのぞく

順番に解説します。

やわらかくなるまで火を通す

調理するときは、中心部まで火を通しやわらかく仕上げることが大切です。食材がやわらかいほど、飲み込みやすくなります。ただし、たんぱく質は火を通し過ぎると固くなるので注意が必要です。

おすすめの調理法は以下の3つです。水分を多く含み、やわらかく仕上がります。

  • 煮る
  • 蒸す
  • ゆでる

煮崩れるまで柔らかく調理すると飲み込みやすくなります。

焼く・揚げるは水分が減り、喉ごしが悪くなります。調理後に煮るなどして、水分を含ませるとよいでしょう。

繊維質を切る

野菜や肉など繊維質の多いものは、繊維を断つように切るとかみ切りやすくなります。

おすすめの繊維の切り方の例です。

  • 肉はたたいた後、格子状に切る
  • ごぼうなど根菜は包丁の柄ででたたいてから切る

なるべく繊維質を切ることでかむ力を助けます。

葉野菜は繊維質が多く、かみ切りにくい食材です。繊維質の少ないやわらかい葉先を使うようにすると、食べやすくなります。

とろみをつける

料理にとろみがあると、まとまりがあり飲み込みやすくなります。

おすすめのとろみづけ調理法は以下の3つです。

  • かたくり粉をまぶす
  • ソースやタレを絡める
  • あんかけにする

とろみのついた料理は高齢者の飲み込む力を助けます。

カレーやシチューもとろみがあるので、高齢者が食べやすい料理です。

皮をとりのぞく

調理の際に皮は取り除きましょう。高齢者はかむ力が弱く、皮がかみ切りにくいからです。かみ切れないまま飲み込むと喉に詰まる危険性があります。

トマトやナスなどの皮はむき、鶏肉の皮は外しておきます。切り目を入れて食べやすくするのは、皮をむいてから行いましょう。

かむ力が落ちてきた高齢者にとって、皮を取り除くことは食べやすくする調理法の1つです。

まとめ

高齢者に必要な食事量と、高齢者が食べやすくなる工夫をご紹介しました。活動量やかむ力・飲み込む力の低下により、必要な食事量が摂取できていない高齢者が多いです。食べやすい食事を用意できるようになれば、適切な食事量を摂取できるでしょう。

高齢者にとって、座った状態でかむ、飲み込むという食べる行為はとてもエネルギーがいります。そのため、高齢者にとって食事が楽しみとなるような工夫も重要です。家族で一緒に食べたり、一緒に準備したりして、食べたくなる環境を作ってみましょう。生活スタイルに合った食事量で病気を予防しながら、家族で食事を楽しめる生活を送りましょう。

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