腎臓病になぜ食事制限が必要なのか?理由と制限の内容について解説!

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くるみさん

腎臓病になると、どうして食事制限が必要になるのですか?

シン

腎臓が悪くなると、体に不要なものを排出する機能が低下するからです。排出できる能力に合わせて食事の摂取量を調整する必要があります。

家族が腎臓病になったとき

  • なぜ食事制限をしなければいけないの? 
  • どんなものを制限する必要があるの? 

とさまざまな疑問がわいてくるでしょう。
 この記事では、腎臓病に食事制限が必要な理由と具体的な制限の内容について詳しく解説します。「なぜ必要なのか」をしっかりと理解することで、食事制限を実践しやすくなり、より安心して行うことができるでしょう。ご家族をサポートしていくためにぜひ参考にしてください。

目次

「腎臓病」に食事制限が必要な理由について

腎臓病が進行すると食事制限が必要になるのは、腎機能の低下によって体に不要なものを排出できなくなるからです。本来は尿と一緒に排出される老廃物などが体内に溜まると、体にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。
体にとって「不要なもの」とは具体的には次のようなものです。

  • 余分な水分
  • 過剰なミネラル類(ナトリウム・カリウムなど)
  • 老廃物

腎臓で尿が作られる過程で体内の水分やミネラルの量が調整されています。その機能が低下すると過剰分をうまく排出できず体内に蓄積されます。
溜まった不要物が体にどのような影響を与えるのか順に見ていきましょう。

余分な水分やナトリウムが体にもたらす影響

腎臓の排出機能が低下
   
余分な水分やナトリウムが体内に蓄積
   
血液量が増加
   
体のむくみ・血圧の上昇
   
血管や心臓への負担増加
   
動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞などの病気のリスク増
   
高血圧によってさらに腎臓の機能低下が進行

細い血管が集まっている腎臓は血圧の影響をとても受けやすいです。高血圧によって過剰な負荷がかかり続けると、腎臓の機能低下がさらに進行するという悪循環に陥ります。
また、腎臓には血液中の老廃物などをろ過する機能があります。腎臓のフィルター機能が目詰まりを起こすと、老廃物が体内にとどまり尿毒症の原因となってしまうのです。

以上のように、腎臓の不要物を排出する機能は体を正常に保つ上でとても大切です。この機能が低下した場合、排出できる量に合わせて食事の摂取量に調整が必要になります。

高血圧や糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病は腎臓病の発生リスクを高めます。腎機能の低下を加速させる要因にもなるため、生活習慣病の予防と改善がとても重要です。

「腎臓」を守るための3つの食事制限について

腎臓病と診断を受けた場合、腎機能の状態によって食事に制限が必要になります。腎臓に負担をかける食生活を続けていると、腎臓病がさらに進行してしまうからです。
腎臓病の進行度合(ステージ)によって制限の内容や制限する量がかわってきます。腎臓の状態や必要な食事制限の内容について、主治医にしっかりと確認しましょう。

腎臓病の主な食事制限は以下の3つです。

  • 塩分の制限
  • カリウムの制限
  • たんぱく質の制限

順番に解説します。

塩分の制限

腎臓病の食事療法で、まず挙げられるのが塩分の制限です。
腎臓のナトリウム濃度を調整する機能がうまく働かなくなると、過剰なナトリウムを排出できなくなります。そのため摂取する塩分量の調整が必要です。塩分制限は腎臓病の全ステージの方が対象になります。

「食塩は一日当たり3g以上6g未満」になるように「日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」で定められています。
(出典:日本腎臓学会 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版

高齢者の減塩にはより注意が必要です。減塩によって食欲が減退し食事量が大幅に減ってしまうと低栄養につながることがあります。食事量を観察しながら塩分の量を調整していきましょう。

カリウムの制限

腎臓病が進行するとカリウムの制限が必要になります。腎臓の機能低下により余分なカリウムの排出が困難になると、高カリウム血症のリスクが高まるからです。
高カリウム血症は不整脈を起こしたり、重症化すると心停止を引き起こす場合があります。カリウムの制限は腎臓病のステージによって制限の有無や制限量がかわってきます。

カリウムの制限については、自己判断で行うのはとても危険です。血液検査での血清カリウムの値などを見ながら総合的に判断することが必要です。必ず医師の指示に従いましょう。

たんぱく質の制限

腎臓病の進行度合いによって、たんぱく質の制限が必要です。たんぱく質は代謝される際に老廃物が残ります。腎臓の老廃物をろ過し尿に排出する働きが落ちると、体内に老廃物が溜まってしまいます。そのため低下した腎臓でも処理できる量のたんぱく質を摂ることが必要です。
たんぱく質の制限については、病気のステージによって異なります。制限が必要かどうかかかりつけの医師に確認しましょう。

高齢者のたんぱく質制限には注意が必要です。過度に制限するとサルコペニア(筋肉量の減少)やフレイル(心身の虚弱)が進行する場合があります。医師の指導のもとに適切な制限を行うことが大切です。

まとめ

腎臓病に食事制限が必要な理由と制限の内容について解説しました。
腎機能の低下によって起こる体の問題を知ることで、食事制限の内容も理解しやすくなります。
腎臓病を進行させないために、現状の腎臓の能力に合わせた食事をとることが大切です。また制限する塩分やカリウム・たんぱく質は体にとって必要なものでもあるため、適正な量に調整することが必要です。自己判断で行わず、必ず主治医と管理栄養士に相談しながら、ご自身に合った食事の調整を行っていきましょう。

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