有料老人ホームに入居するには、どのくらいお金を準備すればいいですか?
何にいくらかかるのか、費用の内訳を知ることが大切です。
費用負担を抑える制度も上手く活用しましょう。
有料老人ホームへの入居を検討するにあたり、どのくらい費用がかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。入居時にまとまったお金の支払いが必要なこともあるため、実際にかかる費用について、事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、有料老人ホームを利用する際の費用の内訳と、費用負担を軽くする制度について解説いたします。ぜひ入居先選びにお役立てください。
有料老人ホームにかかる費用の内訳は?
有料老人ホームにかかる費用は大きく2つに分けられます。
- 入居時にかかる費用の内訳
- 毎月かかる費用の内訳
順に解説します。
入居時にかかる費用の内訳
入居時には、入居一時金というまとまったお金の支払いが必要です。入居一時金は、数年分の家賃やサービス費を前払いするというものです。毎月の費用を抑えることができるというメリットがある一方で、入居時の費用負担が大きいというデメリットもあります。
入居一時金は、0円から数千万円と施設によって大きな差があります。長期間入所する場合は、入居一時金を多く支払って月額費用を低くする方が合計で見ると安いです。
決められた期間より早く退去する場合、入居一時金の一部が返還されます。返還金の額は初期償却の割合によって異なるため、契約時に必ず確認しましょう。
毎月かかる費用の内訳
有料老人ホームでは、毎月15万円から50万円程度の費用が必要です。毎月かかる費用の内訳を説明します。
主な内訳は3種類あります。
項目 | 内容 |
居住費 | 施設に住み続けるための費用 4万円から15万円程度 |
食費 | 施設から提供される食事にかかる費用 3万円から7万円程度 |
管理費(共益費) | 共用部分の維持管理費、水道光熱費、人件費など 3万円から13万円程度 |
上記3種類の他に、緊急時や必要に応じて、次の4種類の費用が追加で必要です。金額には個人差があります。
項目 | 内容 |
日常生活費 | 嗜好品や消耗品費、理美容代、おむつ代など、日常生活にかかる費用 |
医療費 | 診療費、入院費、薬の処方などにかかる費用 |
介護サービス費 | 介護サービスの利用にかかる費用 施設の種類や要介護度に応じて介護保険の適用がある |
上乗せ介護費 | 介護保険法の基準より職員を多く配置する場合にかかる費用 |
有料老人ホームの費用負担を減らす制度について内訳を解説!
有料老人ホームにかかる費用はできるだけ抑えたいものです。ここでは、入居した際に利用できる費用軽減につながる制度を3つ紹介します。
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 医療費控除
順に解説します。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、月々の介護サービスの利用者負担額が上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給される制度です。ただし、有料老人ホームの食費や居住費は対象外となります。
上限額は、世帯または個人の所得に応じて変わります。負担の上限額は下表の通りです。
設定区分 | 対象者 | 負担の上限額(月額) |
第1段階 | 生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
第2段階 | 市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円(世帯)15,000円(個人) |
第3段階 | 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方 | 24,600円(世帯) |
第4段階 | ①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満 ②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満 ③課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | ①44,400円(世帯)②93,000円(世帯)③140,100円(世帯) |
(出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」)
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の両方に自己負担が生じた場合に、負担額が軽減される制度です。上限額を500円以上超えた場合、申請をすると超えた分が支給されます。一世帯あたりの負担上限額は下表の通りです。
75歳以上 | 70~74歳 | 70歳未満 | ||
介護保険+後期高齢者医療 | 介護保険+被用者保険または国民健康保険 | |||
年収約1,160万円 | 212万円 | |||
年収約770~約1,160万円 | 141万円 | |||
年収約370~約770万円 | 67万円 | |||
~年収約370万円 | 56万円 | 60万円 | ||
市町村民税世帯非課税等 | 31万円 | 34万円 | ||
市町村民税世帯非課税かつ年金収入80万円以下等 | 本人のみ | 19万円 | ||
介護利用者が複数 | 31万円 |
(出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」)
医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税を軽減できる制度です。有料老人ホームの月額利用料は対象外ですが、医療関係の費用やおむつ代などは控除の対象となります。
医療費は最大200万円まで控除可能です。しかし、控除の対象となるのは10万円を超える費用となります。10万円未満の費用や保険金で賄えた費用は、控除の対象外となるのでご注意ください。
まとめ
この記事では、有料老人ホームに入居する際にかかる費用の内訳と、費用負担を軽くする制度について解説しました。
有料老人ホームの費用は、入居する人や施設によって変わります。入居先を検討する際は、施設ごとに費用やサービス内容をしっかり確認しましょう。
また、費用軽減につながる制度について理解を深めることで、経済面での不安なく生活できる施設を見つけてください。