ペットと入居できる老人ホームの確認ポイントを教えてください。
「ペット可」老人ホームには、ペットと暮らすためのさまざまな規約があります。また、入居できる動物に制限があり、追加でかかる費用についても確認が必要です。
老人ホームに入居後も、家族として過ごしてきたペットと一緒に暮らしたい方もいらっしゃるでしょう。
ペットと暮らせる老人ホームは全体から見るとまだ少ないものの、年々増えています。動物を飼育している高齢者の増加にともない、ペットの同伴入居を望む声が高まっているからです。
また、動物と触れ合うことにより、高齢者の心身の機能改善や向上が期待できると広く認識されつつあります。
この記事では「ペット可」老人ホームの特徴を解説し、確認ポイントについても具体的に紹介します。ペットと共に暮らせたら、入居後も張りのある楽しい生活を送れるでしょう。ペットと安心して暮らせる老人ホームを見つけるために、ぜひ参考にしてください。
知っておきたい「ペット可」老人ホームの特徴
「ペット可」老人ホームの特徴についてまず知ることが大切です。どのような場所かあらかじめ知っておくことで、トラブルを防ぎ、ペットと安心して暮らせます。
「ペット可」老人ホームには以下の特徴があります。
- 一般の居室とペット同伴の居室が分けられている
- 入居者本人がペットの世話を行う
- 追加でかかる費用がある
順番に解説します。
一般の居室とペット同伴の居室が分けられている
ほとんどの「ペット可」老人ホームでは、一般の居室とペット同伴の居室が分けられています。施設内には動物が苦手な方やアレルギーを持った方も暮らしているからです。共用部についても、動物の行動範囲が規約で定められています。
入居前に以下の点についてチェックしておきましょう。
- 居室以外でペットと過ごせる場所
- 施設共用部でペットと過ごす際のルール(抱っこをする・キャリーケースに入れるなど)
- 施設外にペットを連れ出す際のルール(散歩に連れ出せるのかなど)
「ペット可」老人ホームでも、施設全体がペット同伴可というわけではありません。他の入居者とトラブルにならないよう、ペットと行動できる範囲は把握しておきましょう。
ドッグランを併設している老人ホームもあります。犬を自由に走らせたり散歩させたりする場所があるか、施設内と施設周辺を確認しておくとよいでしょう。
入居者本人がペットの世話を行う
多くの「ペット可」老人ホームが、入居者本人がペットの世話を行うことを入居の条件にしています。ペットシッターなど動物専属のスタッフを配置している施設は少ないからです。
入居者本人が病気やケガなどで一時的にペットの世話ができない状況もあるでしょう。代わりに施設のスタッフにペットの世話をお願いできるのか、施設側の体制の確認が必要です。
外部のペットシッターと連携している施設もあります。ペットシッターに依頼する場合、費用がどれくらいかかるのか調べておくと安心です。
追加でかかる費用がある
「ペット可」老人ホームの料金は、通常の施設より高めに設定されています。動物と暮らすためにかかる費用が追加されるからです。
追加される費用として以下のものがあります。
費用の種類 | 費用の内容 |
保証金 | ペットにかかる費用や損害賠償などの担保として入居時に預ける預託金 |
動物管理費 | ※飼育にかかる実費については別途入居者本人が負担 実費例)ペットフード・備品・消耗品・医療費など | ペットの管理費として毎月支払う費用
原状回復費用 | 居室などが汚れたり破損があったりした際に、入居時の状態に戻すために請求される費用 |
損害賠償費用 | ペットが他の入居者にケガを負わせてしまった場合の治療にかかる費用など |
費用面でも問題がないか、施設の規約を読んで確認しましょう。
ペットが原因の損害賠償については、ペット保険の「ペット賠償責任特約」で補填できる場合もあります。加入しているペット保険の補償内容をチェックしておくとよいでしょう。
「ペット可」老人ホームの確認ポイント4選
「ペット可」老人ホームは、一般の老人ホームよりも確認すべきポイントが増えます。ペット同伴入居者も一般入居者も安心して暮らせるように、さまざまな規約があるからです。また、ペットが病気になったときなど非常時の対策についても確認が必要です。
入居前に以下のポイントについておさえておきましょう。
- 入居できる動物にどのような制限があるか
- 施設に動物を受け入れる体制がどこまで整っているか
- 施設周辺に動物病院があるか
- 入居者が亡くなった後に誰がペットの世話を引き継ぐか
それぞれ解説します。
入居できる動物にどのような制限があるか
入居可能な動物の種類や大きさなどについて、施設ごとに制限が設けられています。施設で他の入居者と問題なく生活するために、ある程度の基準が必要だからです。
動物に関する制限には以下のものがあります。
- 動物の種類(一般的に認められているのは犬や猫が多い)
- 動物の大きさ(抱き上げることが難しい大型犬などは入居不可の施設もある)
- 入居できる頭数(原則一匹の施設が多い)
- ペットのしつけの状態(鳴き声がうるさくないか・トイレがきちんとできるかなど)
狂犬病などの予防接種証明書や獣医師による健康診断書の提出が必要な施設もあります。事前に確認して準備しておくと安心です。
施設に動物を受け入れる体制がどこまで整っているか
施設の受け入れ体制のチェックも肝心です。せっかくペットと入居できても、ストレスを溜めてしまう環境では入居後の生活はつらいものになってしまいます。動物が快適に過ごせる環境か、世話をしやすい体制が整っているかをチェックしておくとよいでしょう。
確認すべき具体例を以下に挙げます。
- ペット用設備の有無(ドッグラン・足の洗い場・入浴設備など)
- 散歩やペットフード購入などの代行サービスの有無
- トリミング、ペットシッターなどのサービス提供の有無
どれくらいのペット同居者がいるのかを施設のスタッフに確認してみましょう。多くの方がペットと暮らしている施設は、ペットを受け入れるための設備や体制が整っていることが期待できます。
施設周辺に動物病院があるか
施設周辺に動物病院があるか確認しましょう。事前に把握しておくと、ペットの急なケガや体調不良にも慌てなくてすみます。また、近くにかかりつけの病院があるとペットの健康管理もしやすくなります。
施設でも安心してペットと暮らしていくために、ペットの非常時にも備えておくことが大切です。
動物病院までの交通手段や送迎の有無、入院やペットホテルのサービスがあるかについてもチェックしましょう。往診に対応している獣医師もいます。近隣に往診のサービスがあるかについても確認しておくとよいでしょう。
入居者が亡くなった後に誰がペットの世話を引き継ぐか
入居者がペットよりも先に亡くなられた場合、入居者のご家族など身元引受人がペットを引き取ることが多いです。入居者本人がペットの世話をできなくなった場合を想定しておくことはとても重要です。大切な家族であるペットが行き場を失うことを防げます。家族間で誰が引き継いでペットの世話を行うのか、必ず話し合っておきましょう。
事前に飼っているペットの体質や好み・病院の通院歴などの情報を記録に残しておきましょう。入居者以外がペットの世話をする際にスムーズに引き継ぎができます。
まとめ
「ペット可」老人ホームの特徴と確認すべきポイントについて解説しました。
ペットと暮らせる施設にはさまざまな規約があり、入居者全員が快適に暮らせるように配慮されています。入居前に規約の内容を把握し、ペットと穏やかに生活できる環境か確認することが必要です。
現在ペットのことが気がかりで、老人ホームへの入居をためらっている方はペットと一緒に入居できる施設を探してみてください。大切なペットと暮らせる施設が見つかったら、飼い主ご本人も安心して施設に入れます。入居後もペットが生きがいとなって心豊かな生活が送れるでしょう。