糖尿病を予防するために食事でできる対策はありますか?
いつ、何を、どのように食べるかによって、糖尿病を防ぐ効果は変わります。毎日の食事を少し見直すだけで、糖尿病の予防につながりますよ。
糖尿病対策は食事が大切だと知っていても、何に気をつければよいのかわからないという方もいるかと思います。糖分をとるのをやめようとご飯やおやつをまったく食べないと、反動で余計に食べてしまいかねません。
この記事では、自分でできる糖尿病になりにくい対策をご紹介します。毎日の習慣にすることで、無理なく糖尿病になるリスクを減らせます。一緒に食べることで、家族の糖尿病予防にもなるでしょう。食事のとり方のコツを覚えて、少しずつ取り入れてみてください。
糖尿病になりにくい食事での対策4選
食事に気を付けることは、糖尿病予防の効果があります。2型糖尿病の主な原因である生活習慣病は、普段の食事で対策できるからです。
もっともおすすめしたいのは外食をやめること。外食をすると糖尿病の原因になりやすい、糖質や脂質が多く含まれているものを食べる可能性が高いです。とくに食事とともに飲酒をすると、お酒で食欲が増します。食べ過ぎにより血糖値が上がりやすくなるでしょう。
どうしても外食をしたりお酒を飲んだりしたいなら、糖質や脂質の低いメニューを選ぶ、焼酎など糖質の少ないお酒に変えるなどの対策がおすすめです。しかしより効果の高い糖尿病対策をおこないたいのであれば、普段の食事は自宅で取るのが良いでしょう。
それでは自分でできる糖尿病になりにくい食事のとり方のポイントを紹介します。
- 規則正しい時間に食べる
- 食物繊維の多いものを食べる
- 食べる順番は野菜から
- よくかんで腹八分目
規則正しい時間に食べる
毎日3食を決まった時間に食べることは糖尿病対策にとても有効です。空腹による食べすぎを防げるからです。食べ過ぎると血糖値が一気に高くなり、インスリンを出すすい臓に負担がかかってしまいます。
食事をとる時間について、注意することをまとめました。
気をつけること | |
朝 | 朝食は必ず食べる。前日の夕食から朝食までの時間を長く空けない。甘いおやつはなるべく朝食後のデザートにする。 |
昼 | 甘いおやつはなるべく昼食後のデザートにする。 |
夜 | 遅い時間に夕食を食べない。夕食が遅くなる場合は、午後以降に数回に分けて食事をとる。寝る2〜3時間前までに食べるようにする。朝の血糖値が上がるので、甘いものは食べない。 |
規則正しい時間に食べると血糖値をコントロールでき、すい臓への負担が軽くなります。
食物繊維の多いものを食べる
糖尿病対策には、食物繊維は強い味方です。食物繊維が糖尿病予防に効果がある理由は、以下の2つです。
- 脂質や糖質の消化吸収をゆっくりにし、血糖値の急上昇を防ぐから
- よくかむ必要があるので、満腹感を感じやすいから
食物繊維の多い食品はこちらです。
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | |
特徴 | ・水に溶けやすい ・腸内の不要な物を吸着させて便と一緒に体外へ排出する | ・水に溶けにくい ・水分を吸収することで便のかさを増す ・腸の蠕動運動を促し便通を促進する |
食品 | 大麦、オーツ麦、昆布、わかめ、りんご、みかん、里芋、オクラ、納豆、めかぶなど | 玄米、小麦ふすま、ごぼう、たけのこ、れんこん、大豆、小豆、納豆、いんげん豆、きくらげ、えのき、こんにゃく、切干大根、干椎茸など |
特に、水溶性食物繊維は糖質をゆっくり吸収する働きがあります。次の食事まで食物繊維は残らないので、できるだけ毎食取り入れましょう。
食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする、満腹感を高めるなど体によい機能があります。食物繊維が豊富なものを食事に取り入れることは、糖尿病対策に効果的です。
食べる順番は野菜から
糖尿病対策のために、野菜から食べることはとても大事です。野菜から食べ始めると、血糖値が緩やかに上昇するからです。
野菜から食べたときと、ご飯から食べたときの血糖値の動きをグラフで見てみましょう。
出典:金本郁男他.糖尿病;53,96-101,2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/53/2/53_2_96/_pdf
(糖尿病;53,96-101,2010を参考として筆者がグラフを作成)
糖質の多い炭水化物から食べ始めると、血糖値が急上昇してしまいます。血糖値が急上昇すると、食前や夜間に低血糖になり、血糖値の振れ幅が大きくなります。動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の引き金になりかねません。
血糖値の上昇を抑えるために、野菜を最初に食べることはとても大切です。野菜を食べたら次におかずを食べ、炭水化物は最後にとりましょう。
食べる前の飲酒も、血糖値が急上昇するので危険です。
よくかんで腹八分目
食べる時はゆっくりよくかんで、腹八分目を意識しましょう。よく噛まないで食事をすると早食いやドカ食いにつながるからです。食事の満足感を得られず、糖尿病の天敵である肥満になってしまう場合もあるでしょう。
よくかんで腹八分目の食事にするポイントは次の通りです。
- 少量ずつ口に入れる
- 集中して食べる
- いつもより多くかんでみる
- 歯ごたえのあるものを食べる
一口の量を少なくすると、かむ回数が増えます。また、テレビやスマホ、パソコンの電源を切って食事を味わうことに意識を向けると、食事に集中してゆっくり食べられるでしょう。
よくかんで食事すれば少量でも十分な満腹感が得られます。早食いを防いで腹八分目にできるよう、普段より多めにかむことを意識してみましょう。
まとめ
自分でできる食事による糖尿病対策について解説しました。食事は規則正しい時間に、ゆっくりと食べましょう。食物繊維の多い食材を取り入れるのも、糖尿病を防ぐ効果が期待できます。
今自分がどのような食事のとり方をしているのか、無意識にしていることに気づくことから糖尿病対策は始まります。ご紹介した方法は糖質の量を測ったり、カロリー計算をする必要はありません。無理なく続けられそうなことから少しずつ始めてみてください。4つの対策をおさえて楽しくおいしい食事をとりながら、糖尿病を予防しましょう。