特養の看取りを知ろう、これから介護の選択で後悔しないために

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車椅子にのった高齢者と付き添う介護者
くるみさん

特養で看取りをしてくれると聞きましたが…。どんなことをしてくれるのか想像がつきません。

シン

特養の看取りの様子をお伝えします。自分や家族の理想に合っているか当てはめて考えてみましょう。

今後の介護のために、特養で看取りをしてくれるという情報を得つつも、実際のイメージがわかない方もいるでしょう。私は病院の看護師をしていますが、次の療養先をどこにするか、何がベストなのか迷っている患者さんはいます。ゼロから調べて迷っているうちに体調を崩し、退院できず病院で再び治療という事例も少なくありません。看取りの場所の選定も、同じようにタイムリーな決断が必要な時があります。

この記事では特養での看取りの様子を詳しく記載しました。読むことで、特養の看取りが自分や家族に合っているか、イメージしながら考えられます。看取りの場所を選択する大切な場面が来たとしても、焦らずに決断できるはずです。

目次

特養の看取りは、生活しながら自然に最期をむかえること

特養(特別養護老人ホーム)は、原則的に要介護3以上の、介護を必要とする方のための施設です。多くの特養は看取りを実施しています。特養での看取りとは、延命治療をせずその人らしい生活をしながら、自然に最期を迎えることを基本としています。

最低限の医療行為のみを受ける

特養は生活の施設であり、病院で行われているような十分な治療をうけるのは難しいです。医師や看護師が常に勤務しているわけではないので、対応できる医療行為に限りがあるからです。生活をする上で医療を必要とする方に対して、下記のような処置を行っています。施設によってできることはかわるので、事前に確認は必要です。

  • 喀痰の吸引
  • 褥そうの処置
  • インスリン注射など

必要と判断された時は、病院に搬送されることもあります。特養で実施される医療行為は限られており、すぐに対応できない場合があります。

延命治療をせず亡くなるまでを見守る

特養の看取りでは、入所者の健康状態が悪化し回復が見込まれない場合、自然に亡くなるまでを見守ります。その人らしく穏やかな最期を迎えるためです。延命治療をしなければ、身体の機能が少しずつ低下していきます。最期は意識が薄れ、呼吸や脈が止まり、命が終わります。

心穏やかに生活しながら、自然な形で最期を迎えられるよう支援するのが、特養の看取りの方針です。

特養の看取りで特徴的な3つのケア

特養での看取りは3つの理念に沿って行われます。

  • 身体ケア
  • 精神的ケア
  • 家族ケア

最期まで尊厳を保つ身体ケア

特養の身体ケアは、日常生活の支援です。その人の希望にそった快適な生活を送ることで、最期まで尊厳を保てます。以下のようなシーンを支援します。

  • 清潔(入浴や体拭き)
  • 食事
  • 排泄

入浴や体拭きでさっぱりし、清潔をたもちます。食事は楽しみであり、食べられないときは無理に提供しません。食べる機能が落ちても、要望があれば形状を工夫したり、職員が付き添って安全を確保し提供します。おむつ交換時はプライバシーに配慮します。

全ての希望に答えることはできなくても、入所者が笑顔になれたり、心が穏やかでいられるように様々な工夫や配慮がされているのです。

不安や孤独に寄り添う精神的ケア

特養の精神的ケアは、入所者の苦痛を緩和する支援です。入所者は死への恐怖や、孤独などたくさんの思いを抱えています。不眠や食欲が落ちるなど、悪循環を起こすこともあるため、ケアが必要です。具体的な精神的ケアの一例は以下のとおりです。

  • 身体症状の緩和
  • 信頼関係の構築 
  • タッチング

痛み止めを使うだけでなく、痛い部分をさする、温めるなども気持ちをやわらげます。信頼できるスタッフとのおしゃべりも、ほっとする時間になるかもしれません。ただそばにいて手を握ることも「1人ではない」という安心につながるでしょう。

医学的にできることは限られていても、特養では精神的な苦痛がやわらぐよう入所者に寄り添っていきます。

家族のサポートをする家族ケア

特養の家族ケアは、入所者の家族の支援です。大切な人とお別れする家族も、さまざまな気持ちを抱いています。また、気持ちをためこんでしまったり、連日の疲労がとれない方もいます。特養の看取りは家族にとっても大切な時間であるため、入所者同様にケアが必要です。具体的な精神的ケアの一例は以下のとおりです。 

  • 気持ちを聴く
  • 今後のことを伝える
  • 面会できる環境を整える

家族が話したいなら、気持ちを聴いて、少しでもためこまないようにします。時には、職員から今後入所者に起こりうる急変や、身体の変化を説明することもあります。ショックやパニックにならないように、イメージを持っていた方がよい場合もあるからです。また、入所者と家族が気兼ねなく過ごせるように、静かな場所を提供します。

特養の看取りでは入所者と家族が最期の時間を、穏やかに過ごせるように支援をしていきます。

まとめ

この記事では特養の看取りについて説明しました。特養で行われる看取りとは、延命治療はせず、自然に最期をむかえられるようにケアすることです。特養は介護が必要な方のための生活施設です。日常生活の支援が基本となり、医療行為は最低限となります。今後、数ある選択肢の中から看取りの場所を選ぶ際、何を基準に選べばよいかわからなくなるかもしれません。大切なことは、自分や家族が望む生活ができる場所かどうかです。特養はその人らしい生活を尊重し、看取りが不安な時も信頼できるスタッフが支援してくれます。どんな生活をしたいかをイメージし、残された最期の時間を大切に過ごせるような場所をみつけてください。

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