介護施設の費用はだれが支払うのですか?
介護施設の費用をだれが支払うべきかに明確な答えはありません。家族間で話し合い、双方が納得できる支払い方法を決めましょう。
介護施設へ入居する際必ず必要になるのがお金です。介護施設の費用は決して小さい金額ではありません。介護施設の費用はだれが支払うのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では介護施設の費用はだれが支払うのかを解説します。将来に備えてやっておきたいことや費用負担を軽減する方法も合わせてご紹介するので、経済面での不安なく介護施設を利用したい方はぜひ参考にしてください。
介護施設の費用はだれが支払う?
介護施設の費用は入居者である親本人の資産から支払うのが一般的です。子世代は子育てや住宅ローンの支払いなどで金銭的負担が大きくなる時期だからです。自身の老後資産の準備もしなければなりません。子世代に金銭的負担をかけないのが好ましいでしょう。
しかし介護施設の費用をだれが支払うべきかに明確な答えはありません。家庭によって経済状況は異なるためです。家族関係もさまざまでしょう。最終的には家族間で話し合い、双方が納得できる支払い方法を決めるのが大切です。
介護施設の費用負担に備えてやっておきたいこと2選
将来必要になる介護施設の費用負担に備えてやっておきたいことを2つご紹介します。
- 資産状況を把握する
- 年金の受給額を確認する
順に解説します。
資産状況を把握する
介護施設の費用負担に備えてまずやるべきなのが親の資産状況の把握です。資産状況が分からなければ介護施設の予算シミュレーションも立てられません。把握しておきたい資産には以下が挙げられます。
- 銀行口座預金
- 株式
- 不動産
- 生命保険
- 負債
特に注意したいのが銀行口座預金です。認知症になって判断能力が低下すると預金を引き出せなくなるリスクがあります。成年後見制度や家族信託などを活用して、必要になったときに資金を引き出せるようにしましょう。
年金の受給額を確認する
年金の受給額も必ず確認しましょう。多くの高齢者にとって年金は大きな収入源だからです。2019(令和元)年に厚生労働省が行った調査によると、厚生年金・国民年金の平均受給額は以下の通りです。
分類 | 金額 |
厚生年金(男性) | 164,770円/月 |
厚生年金(女性) | 103,159円/月 |
国民年金 | 56,049円/月 |
厚生年金の受給額は加入期間や標準報酬月額によって大きな差がある点に注意が必要です。実際にどれくらい年金が受け取れるかはねんきん定期便などで確認しましょう。
介護施設の費用負担に困ったときの対処方法4選
介護施設の費用負担に困ったときの対処方法を4つご紹介します。
- 減免制度を利用する
- 公的介護施設を利用する
- 専門家に相談する
- 生活保護を受給する
順に解説します。
減免制度を利用する
介護施設の費用支払が厳しくなったとき、まず利用を検討したいのが減免制度です。制度を利用して費用を軽減、超過分の還付を受けられれば金銭的負担は大きく軽減されるでしょう。減免制度には以下が挙げられます。
- 高額介護サービス費
- 特定入居者介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養制度
- 自治体の助成制度
制度によって受給要件や申請方法は異なります。不明点があれば自治体の窓口に相談しましょう。
公的介護施設を利用する
公的介護施設は民間介護施設と比較して金銭的負担を抑えられます。公的施設は自治体や社会福祉法人が公的な補助を受けながら運営しており、月額利用料が安い傾向があるためです。公的介護施設には以下が挙げられます。
- 特別養護老人ホーム
- 介護医療院
- 介護老人保健施設
- ケアハウス
ただし公的施設は費用が安い分、入居者待ちが多い点には注意が必要です。申し込み後すぐに入居できるとは限りません。余裕をもって入居申し込みしましょう。
専門家に相談する
専門家は介護施設の費用負担が厳しくなったとき力強い存在になります。介護保険に関する専門的な知識で、利用者の立場に立った支援をしてくれるでしょう。相談を検討したい専門家には以下が挙げられます。
- ケアマネージャー
- 地域包括支援センター
いずれも無料で相談できます。ひとりで抱え込まず、些細な疑問でも遠慮せずに相談しましょう。
生活保護を受給する
生活保護とは金銭的に困窮している方の生活を支える制度です。生活保護受給者が入居できない介護施設がある点には注意が必要ですが、毎月一定額支給されれば、月額利用料を支払やすくなるでしょう。入居可能な施設は地域包括支援センターへ相談してください。
同居している家族と住民票上の世帯を分ける世帯分離が認められれば、親のみ生活保護を受けられる可能性があります。生活保護は個人単位ではなく、世帯単位で最低限度の生活を送れないと判断されたときに支給される制度だからです。手続きに必要な書類は自治体によって異なるのであらかじめ確認しましょう。
まとめ
介護施設の費用は誰が支払うのか、将来に備えてやっておきたいことや費用負担を軽減する方法について解説してきました。
今は元気だとしてもいつ要介護状態になるかは分かりません。急に要介護状態となると戸惑ってしまいますが、あらかじめ資産状況を把握し、国や地方自治体が用意している制度への理解を深めておけば焦らず対処できます。ぜひご家族で話し合い、経済面の不安なく安心して介護施設へ入居できるよう準備をしてください。